バーチャルオフィスの納税地はどうなるの?個人・法人ごとに解説!
近年、よく耳にするバーチャルオフィスというサービス。インターネット環境さえ整っていればどこでも仕事ができるという方には打ってつけのサービスですが、細かいところまで理解している方は少ないのではないでしょうか。今回は、そんなバーチャルオフィスについて、個人・法人に分け、納税にスポットを当て解説します。
納税地とは
まず、バーチャルオフィスの納税について解説するにあたり、知っておかなければならないのは、バーチャルオフィスの仕組みです。そもそも、バーチャルオフィスとは、何か?その名の通り仮想の事業所のことで、事業用に使うための住所やそのほか諸々の環境を提供するサービスのことです。
通常事業を立ち上げるには、個人・法人問わず、登記するために、郵便物を受け取るための、所在地や銀行口座を開設する必要があります。事業を立ち上げたばかりで、オフィス賃貸料などの固定費をなるべく抑えたいという方には、非常にメリットの大きいサービスともいえます。
しかし、会社を立ち上げ、利益を得るということは当然ながら納税の義務を負うことになります。そこで、まずは納税地について理解する必要があります。納税地とは税金に関する書類を提出するための税務署を定める場所を指しています。
納税地は、個人と法人とでは多少異なり、基本的には個人の場合住民票がある住所地であり、法人の場合は「本店または、主たる事務所の所在地」が納税地ということになります。
個人事業主の納税地について
それでは、個人事業主の場合について、さらに詳しく解説していきましょう。まず、個人事業主として商いを始めるには開業届を提出する必要があります。これは正式名称「個人事業の開業・廃業等届出書」というもので、これを提出していなければ、確定申告はもちろん、経費としての計上などもできないので、必ず提出が必要です。
この開業届には、さまざまな記入項目があり、その中には、納税にかかわる住所の記載も必要になります。バーチャルオフィスなどを利用せず、自宅で開業する場合は、とくに注意は必要ありませんが、バーチャルオフィスを利用する場合は、少し気をつけなければならないポイントがあります。
基本的に開業届に記載した住所地が納税地ということになるので、バーチャルオフィスを利用するからといって、バーチャルオフィスがある所在地の住所だけを記載してしまうと、自宅で仕事のために使った通信費だけでなく、家賃なども経費として計上できなくなってしまいます。これでは、仕事で使用したものなのに経費処理ができず、余分な費用を払わなければならなくなったということになり兼ねません。
ここで注意しなければならないのは、開業届に記載する住所です。開業届をよく見ると、住所を記載する項目は「納税地」と「上記以外の住所地・事業所等」の二ヶ所あります。バーチャルオフィスと自宅の両方を設定するのであれば、納税地の項目には、バーチャルオフィスの住所を記載し「上記以外の住所地・事業所等」の項目に自宅の住所を忘れずに記載しましょう。
法人の納税地について
続いて、法人の納税地について解説します。個人事業主の時と同様に、法人として会社を設立した時には「法人設立届出書」の提出が必要になります。
基本的には、個人事業主の「開業届」の時と同じ考え方になりますが、通常、登記した本店、または主たる事業所の所在地を法人設立届出書の「本店又は主たる事務所の所在地」欄に記載する形となりますが、法人設立届出書にも住所を記載する欄が二か所あります。
バーチャルオフィスを利用している場合には、先の「本店又は主たる事務所の所在地」の欄にバーチャルオフィスの住所を「納税地」欄に自宅の住所を記載することで、可能となります。
納税地選びのポイントとは
納税地選びについては、いくつか注意しなければならないポイントがあります。ここでは、納税地選びのポイントについて、個人事業主の場合と法人の場合とに分けて解説します。
まずは個人事業主の場合です。バーチャルオフィスを利用している方から挙がる質問で、多いのが「自宅の住所とバーチャルオフィスの所在地のどちらを納税地にすべきなのか?」です。
税金に関することなので、経費計上を軸に考える方も多いのですが、納税地を選ぶ際は、実際に仕事をメインでしているのはどこなのかで考えるべきだといえます。理由としては、税務署からの重要な郵便物は納税地に届くからです。普段あまり立ち寄らない場所だと、すぐに確認しなければならない税務署からの郵便物に気づくのが遅れてしまうということが起こり得るからです。
また、何かしらで納税調査が入る場合、納税調査は納税地で行われます。その際、仕事をしている実態がないと問題に発展する可能性もあるからです。
次に、法人の場合です。法人の場合、通常納税地は、法人設立届出書の「本店または主たる事務所の所在地」になるのですが、バーチャルオフィスを利用の場合、本店としてバーチャルオフィスの住所を設定し、事務所として自宅の住所を登録すれば自宅住所を納税地として選択することもできます。
しかし、この場合「法人住民税」の取り扱いに注意しなければ、バーチャルオフィスと自宅両方で課税されてしまうことがあります。この点については、税の専門家である税理士に事前に確認することをおすすめします。
まとめ
今回は、近年利用者が増えているバーチャルオフィスの納税について、解説しました。インターネット網が拡がり、回線速度も向上することで、ますます働き方は多様化していく傾向にあります。時代の変化と共に、魅力的なサービスが増えていますが、全容を理解せずに使うと思わぬ失敗をしてしまうかもしれません。不明点については、専門家に確認の上、ご活用ください。
